休業(補償)等給付
労働災害が原因で休業をしなければいけなくなったときの補償分を、国が労災保険から支給してくれます。
ただし4日目以降の分の補償となっており、初めの3日分は支給されません。
おおむねそういうことです。
ただし、賃金の全額を受け取れるわけではなく、
8割しか支給されません。
「休業(補償)等給付」というものから6割、「休業特別支給金」というものから2割で、合計8割です。
さらに、8割といっても、あなたが会社からもらっている賃金の全てを合計した8割、というわけではなく、 ボーナスなどの特別給与を除いて計算した額の8割ですから、さらに少なくなってしまいます。
いいえ、労災保険は、完全に労働者のミスが原因であるような、会社になにも過失がない場合でもおりるものなので、労災が認められたから会社に責任がある、とは限らないのです。
会社に責任がない場合、休業中に受け取れる金額はあくまで8割、ということになります。
休業期間が全て終わるのを待つ必要はありません。
例えば1ヶ月休業したらまずその分を請求し、さらに1ヶ月後に2回目を請求、という具合に、そのつど請求をすることができます。
ただし、1回目の請求をしたときは、そもそもあなたのケガや病気が労災にあたるのかを労基署が詳しく審査をすることになるでしょうから、 請求をしても、すぐにはおりないのが現実です。
労基署による審査は、早ければ1ヶ月で終わりますが、 半年、1年半と待たされるケースもあります。
また、労災を申請するための書類集め・証拠集めにも、相当の時間を取られます。
申請の手続きが難しいかといえば、そんなこともないのですが、 ただ形式的に書類を作成して申請するだけでは、なかなか労基署から認定をもらえないのが現実なので、 しっかりとした準備をし、労基署にアピールする証拠をそろえてから申請するほうがいいのです。
ということはつまり、そうした申請までの準備と、申請してからの労基署の審査とで、二重に時間がかかるということで、その間の生活費をどうするかが、非常に難しい問題となっています。
労災保険の代わりに健康保険を一時的に使うことで、傷病手当金という給付を国から受け取れるようになるので、 それを当座の資金にあてることを検討するのもいいでしょう。
大したケガでもないはずなのに、ずっと休んでいる社員がウチにいて、困ってるんだけど。
休業補償を労基署に申請する際に、そのつど医師の証明が必要になります。 医師の証明があるなら、労基署は休業が必要な状態だったと判断することになるでしょう。
なお、仕事中に起きた労災には休業補償給付が、通勤災害には休業給付が支払われます。
さらに、休業補償給付と似たものとして、複数事業労働者休業給付というものもあります。 2020年に新設されたものですが、複数業務要因災害と呼ばれるものが原因になった労災について支払われるものです。
複数業務要因災害とはどういうものか、少し複雑なのでこちらで説明しています。
この3つの給付を合わせて、休業(補償)等給付といいます。 給付されるものは同じです。
申請の流れ
休業補償や後遺症への補償など、治療費以外の請求はすべて労基署に行います。
1.会社に代行して申請してもらう場合の流れ
労災が発生したことを会社に伝えます。↓
あとは会社があなたから必要なことを聞き取り、書類を作成したうえで、労基署に申請をしてくれるはずです。↓
その場合は自分で申請を行いましょう。
2.自分で申請する場合の流れ
まずは請求書など、必要な書類をそろえます。↓
請求書には会社の署名を記入してもらう欄があるかもしれません。↓
なかには会社が記入を拒むケースもありますが、その場合は、拒まれた旨を用紙に書いて、提出すればいいだけです。 会社の協力は不可欠ではありません。
必要書類がそろったら労基署長に提出します。↓
労基署が調査をし、労災であると認められれば、国から保険金が支給されます。↓
休業(補償)等給付 の必要書類
提出先 勤務先を管轄する労基署
時効 2年
【休業補償給付 職場でのケガや病気の場合】
提出書類 | サンプル |
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請求書(様式第8号) (ダウンロード) |
様式第8号記入例 |
※複数事業労働者休業給付の請求書もこちらとなります
【休業給付 通勤中にケガをした場合】
提出書類 | サンプル |
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請求書(様式第16号の6) (ダウンロード) |
様式第16号の6記入例 |
加えて、被災者に今回の災害が原因で他の年金(障害厚生年金・障害基礎年金など)が支給されるなら、 その金額を証明する資料が必要になります。
なお、請求は休業期間が全て終わるのを待つ必要はなく、 例えば1ヶ月休業したらまずその分を請求し、さらに1ヶ月後に2回目を請求、という具合に、そのつど請求をすることができます。
青葉法律事務所による申請サポート
青葉法律事務所では労災申請のサポート業務を行っております。
どちらかというと弁護士は、裁判をする段階で労災事件に携わることが多いのですが、 私たちは裁判になる前に認定を勝ち取ることが重要であると考えています。
弁護士が入るタイミングは、早いほうがいいのです。
労災を申請するのは、手続きだけを見れば、それほど難しいわけではありません。
しかし手続きに必要な最低限の書類を、労基署にいわれるがままに、すなおに提出しても、認定を得るのは難しいのが現実です。
労災の申請は入学試験のようなものと思いましょう。 受験することは誰にでもできますが、合格しようと思えばそれなりの・・かなりの、努力が必要になります。
労基署が教えてくれるのは、いわば願書の提出方法だけ。 合格のために必要な勉強を教えてくれるわけではありません。
受験生が合格をめざして予備校に通うなどするのと同じように、 労災の認定を得るために、専門家によるサポートを検討してはいかがでしょうか。
何をサポートしてもらえるのですか?
私たちが行うことは、裁判を起こすときに行うことと基本的に変わりありません。 依頼人に有利な証拠を集め、不利な証拠にはフォローを入れます。
説得をする相手が、裁判官から労基署に変わるだけですから、 ふだん私たちが行っている弁護士としての仕事と、大きく変わる点はないのです。
労災の認定にあたっては、多くの人が重要であると考えるポイントと、労基署が重要であると考えるポイントとに、 おそらくいくらかの開きがあります。
労基署が重要であると考えるポイントをふまえ、労災であると認定されるために必要な証拠を、私たちはできるかぎり集めます。 この点は特に、働きすぎによるうつ病や過労死事件において重要です。
私たちは労災の申請を、単なる「行政手続き」と考えてはいません。 裁判に匹敵するほどに難しく重要な手続きと考えています。
このまま裁判に移行しても構わないといえるぐらいのしっかりした証拠を、 申請の段階でできるかぎり集める努力をします。
独力での証拠集めに不安があるようであれば、ご相談ください。
申請サポートの費用
33万円(消費税込み)
- ※ 審査請求・再審査請求の段階から入る場合は44万円(消費税込み)から
- ※ 事案により増減があり得ます。
事案により相談
着手金は結果のいかんに関わらず発生する費用のことであり、報酬金は成功報酬のことです。
報酬金を明確にしていないのは、労災の給付金が年金形式などさまざまな形で支払われるものであり、申請が通った場合のあなたの経済的利益を算出することが難しいからです。 よって事案ごとに相談とさせてください。