療養(補償)等給付
診察代や薬代、入院にかかった費用、などを国に負担してもらうことができます。
国保や健保と違い、自己負担分はなく、全額※をまかなってもらえます。
治療は「労災指定病院」で受けるのが原則です。
指定病院であれば、病院があなたに代わって国に治療費を請求してくれるので、あなたが一時的に費用を立て替える必要がなくなる、というメリットもあります。
とはいえ近くに指定病院がないなどの場合は、通常の病院で治療を受けることもできます。 その場合、まず利用者が費用を立て替えてから、かかった費用を後で国に請求する形になります。
なお、仕事中に起きた労災には療養補償給付が、通勤災害には療養給付が支払われます。
さらに、療養補償給付と似たものとして、複数事業労働者療養給付というものもあります。 2020年に新設されたものですが、複数業務要因災害と呼ばれるものが原因になった労災について支払われるものです。
複数業務要因災害とはどういうものか、少し複雑なのでこちらで説明しています。
この3つの給付を合わせて、療養(補償)等給付といいます。 給付されるものはほぼ同じです。
申請の流れ
治療費の請求は、指定病院とそうでない病院とで手続きが変わります。
1.労災指定病院への申請の流れ
指定病院で治療を受ける場合は、必要書類(労災の請求書)に記入をしたうえで、病院に提出します。
提出すれば治療は無料で受けることができます。↓
後日、病院は労基署長に書類を提出します。↓
労基署が調査をし、労災であると認められれば、国から病院にお金が支払われる仕組みです。↓
請求書には会社の署名を記入してもらう欄があります。↓
なかには会社が記入を拒むケースもありますが、その場合は、拒まれた旨を用紙に書いて、提出すればいいだけです。 会社の協力は不可欠ではありません。
とはいえ、いずれにせよ、準備にそれなりに時間のかかる書類です。 初診時には用意できないことも多いでしょう。↓
労災であることを病院に伝えれば支払いを待ってくれるかもしれませんが、そうでない場合は労働者がいったん治療費を立て替えて支払います。↓
後日、病院に請求書を提出することで、立て替えた治療費が払い戻されるという流れです。↓
しかし病院によっては、払い戻しに応じてくれないかもしれません。 治療から請求書の提出まで時間が空くほど、応じてもらいにくくなるでしょう。
2.指定病院以外の病院への申請の流れ
労災指定病院ではない場所で治療をしてもらった場合は、とりあえずあなたが治療費を立て替えて支払います。↓
そして後日、改めて労基署長あてに請求書を送り、↓
労基署が調査をし、労災であると認められれば、国から治療費が支給されます。↓
療養(補償)等給付 の必要書類
■ 労災指定病院で受診した場合
提出先 勤務先を管轄する労基署
時効 なし(治療を無料で受けられる)
【療養補償給付 職場でのケガや病気の場合】
提出書類 | サンプル |
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請求書(様式第5号) (ダウンロード) |
様式第5号記入例 |
※複数事業労働者療養給付の請求書もこちらとなります
【療養給付 通勤中にケガをした場合】
提出書類 | サンプル |
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請求書(様式第16号の3) (ダウンロード) |
様式第16号の3記入例 |
移動の際のタクシー代や付き添いの看護人にかかった費用などを請求したい場合には、次の項目(指定病院以外で受診)にある請求書を改めて労基署に提出します。
■ 労災指定病院以外で受診した場合の必要書類
提出先 勤務先を管轄する労基署
時効 2年
【療養補償給付 職場でのケガや病気の場合】
提出書類 | サンプル |
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請求書(様式第7号(1)) (ダウンロード) |
様式第7号(1)記入例 |
※複数事業労働者療養給付の請求書もこちらとなります
【療養給付 通勤中にケガをした場合】
提出書類 | サンプル |
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請求書(様式第16号の5(1)) (ダウンロード) |
様式第16号の5(1)記入例 |
移動の際のタクシー代や付き添いの看護人にかかった費用など、治療費以外の必要な出費も請求する場合には、その費用の領収書または請求書が必要です。
青葉法律事務所による申請サポート
青葉法律事務所では労災申請のサポート業務を行っております。
どちらかというと弁護士は、裁判をする段階で労災事件に携わることが多いのですが、 私たちは裁判になる前に認定を勝ち取ることが重要であると考えています。
弁護士が入るタイミングは、早いほうがいいのです。
労災を申請するのは、手続きだけを見れば、それほど難しいわけではありません。
しかし手続きに必要な最低限の書類を、労基署にいわれるがままに、すなおに提出しても、認定を得るのは難しいのが現実です。
労災の申請は入学試験のようなものと思いましょう。 受験することは誰にでもできますが、合格しようと思えばそれなりの・・かなりの、努力が必要になります。
労基署が教えてくれるのは、いわば願書の提出方法だけ。 合格のために必要な勉強を教えてくれるわけではありません。
受験生が合格をめざして予備校に通うなどするのと同じように、 労災の認定を得るために、専門家によるサポートを検討してはいかがでしょうか。
何をサポートしてもらえるのですか?
私たちが行うことは、裁判を起こすときに行うことと基本的に変わりありません。 依頼人に有利な証拠を集め、不利な証拠にはフォローを入れます。
説得をする相手が、裁判官から労基署に変わるだけですから、 ふだん私たちが行っている弁護士としての仕事と、大きく変わる点はないのです。
労災の認定にあたっては、多くの人が重要であると考えるポイントと、労基署が重要であると考えるポイントとに、 おそらくいくらかの開きがあります。
労基署が重要であると考えるポイントをふまえ、労災であると認定されるために必要な証拠を、私たちはできるかぎり集めます。 この点は特に、働きすぎによるうつ病や過労死事件において重要です。
私たちは労災の申請を、単なる「行政手続き」と考えてはいません。 裁判に匹敵するほどに難しく重要な手続きと考えています。
このまま裁判に移行しても構わないといえるぐらいのしっかりした証拠を、 申請の段階でできるかぎり集める努力をします。
独力での証拠集めに不安があるようであれば、ご相談ください。
申請サポートの費用
33万円(消費税込み)
- ※ 審査請求・再審査請求の段階から入る場合は44万円(消費税込み)から
- ※ 事案により増減があり得ます。
事案により相談
着手金は結果のいかんに関わらず発生する費用のことであり、報酬金は成功報酬のことです。
報酬金を明確にしていないのは、労災の給付金が年金形式などさまざまな形で支払われるものであり、申請が通った場合のあなたの経済的利益を算出することが難しいからです。 よって事案ごとに相談とさせてください。