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労災って何? 読めばわかる弁護士による解説

労災ってよく耳にしますけど、なんなんですか?
僕にも関係のあるものなんでしょうか?

仕事が原因でケガを負ったり病気になったりしたとき、
それは「労働災害」と認められ、国から保険金の支給を受けることができます。
そのために用意されているのが、「労災保険制度」です。

僕たちはみんな、労災保険に加入しているんですか?
掛け金を払った覚えがないんですけど。
保険料を払っているのは会社です。
従業員を1人でも雇っている会社は、労災保険に加入することを義務づけられています。 労働者の側でなにか手続きをしておく必要はありません。
働いている人が事故にあったり、ガンになったりすると、
もらえるんですか?
いいえ、民間のガン保険などとは違い、ケガや病気をすればもらえるわけではなく、 あくまで、仕事が原因のケガや病気について支払われるものです。
正社員でなくてももらえるものなんですか?

はい、アルバイト、パート、契約社員などに関係なく、受け取ることができます。 外国人であっても同じです。

受け取ることができないのは、「請負」と呼ばれる特殊な働き方をしている人であったり、経営者の立場にいる人たちです。 彼らは法的に「労働者」とは認められないからです。

会社が掛け金を払っているということは、会社を辞めてからでは請求できないんでしょうか?
大丈夫です、退職してからでも請求することができます。
ただし時効の問題があるので、お早めに専門家に相談なさるのがいいでしょう。
うちの社長、たぶん労災保険の掛け金なんて、払ってないと思いますよ。
そういうの何も知らない人なんで。
会社が保険料を払っていなくても、労働者は保険金を国から受け取ることができます。 その場合、国は後から、過去にさかのぼって、会社から保険料を徴収します。

公務員の労災保険制度

民間の労働者と同じく、公務員にも労災保険制度は用意されています。
基本的な仕組みは同じなのですが、手続きや管轄が異なっています。 また地方公務員と国家公務員とで制度が分かれていたりと、なかなかややこしいことになっています。

全ての制度について書くのは大変なので、ここでは民間の労災保険制度に限ってご説明したいと思います。 申し訳ありませんが、ご承知置きください。

とはいえ民間も公務員も、制度の基本的なところは同じですから、ここで民間の制度の概要をつかんでおくことは、 公務員の方にとっても有益であると思います。

どんな場合に労災と認められるのか

  • 仕事中にケガをした

    足場から転落する、機械で指を切断する、といった仕事中のケガです。
    労災が認められる典型的なケースといえるでしょう。
  • 働きすぎが原因で身体を壊した・うつ病になった

    過労による心臓病などを思い浮かべる人が多いでしょうが、他にも、例えば介護の仕事で腰痛になった、 OA機器の使いすぎで目を悪くした、けんしょう炎になった、などのケースでも認められる可能性があります。
  • 有害物質により病気になった

    じん肺やアスベストなどが典型です。
    平成24年には、印刷会社の従業員が次々にガンになる事件が明らかとなり、大きく報道されました。
  • 通勤途中に事故にあった

    通勤中にあった事故も、通勤災害として保険金が支給されます。
    ただし、寄り道が問題とされて、認定されないケースがよくあります。

その他、知っておくべきこと


1.労働者が申請するものであること

労災保険の保険料を払っているのは会社ですが、給付を受けられるのは労働者です。
あくまで労働者の権利なのですから、申請するにあたって会社の許可をもらう必要などはありません。

請求できるのは、労災だと会社が認めた場合だけなんだ。
請求用紙には、会社に証明を書いてもらうための欄があるからね、
ほら、ここに。

ともっともらしいことを会社が言う場合がありますが、誤りです。
申請用紙に会社の署名欄があるのは事実ですが、必要不可欠のものではありませんし、労災であるかどうかを判断するのは労基署であって会社ではありません。

そのかわり、といってはなんですが、申請をするのは労働者の責任です。
会社が率先して手続きを代行してくれる場合もありますが、いつもそうであるとは限りません。

申請しなければ保険がおりることもなく、
それどころかすぐに時効期間(2、あるいは5年)が過ぎてしまいます。
気をつけましょう。

2.無過失責任であること

労働者の失敗が原因のケガであっても、労災であるとは認められますし、給付が減らされることも、原則として、ありません。

お前がミスをして勝手にケガをしただけなのに、
国からお金をもらえるわけないだろ!

と言って、申請を諦めさせようとする会社もありますが、誤りです。

とはいえ、保険金欲しさにわざと自分からケガをしたとか、
酔っぱらって仕事をしていてケガをしたなどの重大な過失がある場合は、 労災とは認められなかったり、給付が減らされたりします。

ということは、夫が働きすぎで自殺をした場合は、
自分でしたこと、とみなされて、労災とは認められないのでしょうか?
大丈夫です。
働きすぎでうつ病になり自殺に至ったのであれば、 正常な判断力が仕事のせいで失われていたということで、労災として認められる可能性があります。

3.労災で休業している間は解雇されないこと

労働災害が原因で身体を壊し、休業を余儀なくされる場合があります。
するとひどい会社は、

働けないなら辞めてもらうしかないね。
それがうちの決まりだから。

と言うのですが、これは認められません。
労働者は会社のために働いたことでケガや病気になったのですから、働けなくなったから放り出すなど、ひどい話です。 法はそうした解雇を原則として禁じています。

すると、会社は次のように言い出すかもしれません。↓

解雇をするのは、君が働けなくなったことが原因ではないよ。
もともと君は勤務態度がわるかったから、解雇をしようと思っていたところだったんだ。今回のケガはぜんぜん関係ないの。 ただの偶然。

↑しかし、このような粗探しの解雇も許されません。
仕事が原因のケガや病気で休業している間、そして仕事に復帰してからの30日間は、会社は、いくつかの例外的なケースを除いて、 どんな理由をつけても、その労働者を解雇できない決まりになっています。

労働災害に遭い、休業をしなければならなくなった労働者は、安心して療養に専念できるのです。 大切な権利として覚えておきましょう。

ややこしい話となりますが、通勤災害の場合は、解雇制限の適用はありません。
労災で休業している間は解雇をされない、ということですが、休業していなければ解雇をされるかもしれないということですか? 私は会社に迷惑をかけるのが嫌で、痛みを我慢して会社に出ているのですが。

たしかに、休業をしていないのであれば、解雇が通る余地がないわけではないでしょう。

しかしその場合でも、会社は自由に解雇をできるわけではなく、正当な理由のあるなしが問題とされます。 解雇はもともと難しいものであり、まして仕事が原因のケガをしている労働者を辞めさせるのは、現実的には、会社にとって、相当ハードルが高いといえます。

じゃあ働けないとわかってる社員を、会社は雇い続けないといけないってこと?
基本的にはそうです。
とはいえ休業補償は労災保険から出ますので、会社の懐が特に痛むわけではないと思われますが。
うちの会社は労災に遭った従業員に、毎月、別途手当を支給する決まりになってるらしいんだよ。 だから懐が痛むの。働けない社員を雇い続ける余裕なんてないよ。
そういう決まりがあるなら、なおのこと労働者を放り出してはいけないでしょう。 約束は守りましょう。
でも10年も20年もケガが治らないかもしれないじゃないか。
その間ずっと休業されて、こっちはお金を払い続けないといけないの? おかしいでしょそれ。

休業して3年が経過してもまだ労働者が復帰できない場合は、
条件付きではあるものの、解雇の余地が出てきます。

何を受け取れるのか

労災が認められた場合に給付されるのは、概していえば以下のものです。↓

  • 治療費
  • 休業している間の給与
  • 大きなケガへの給付
  • 介護費用
  • 後遺症への給付
  • 遺族への給付
  • 葬儀の費用
  • 子供の学費

それぞれについて、次のページで詳しく見ていくことにしましょう。

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