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労災って何? 読めばわかる弁護士による解説

労災ってよく耳にしますけど、なんなんですか?
僕にも関係のあるものなんでしょうか?

仕事が原因でケガを負ったり病気になったりしたとき、 それは「労働災害」と認められ、国から保険金の支給を受けることができます。
そのために用意されているのが、「労災保険制度」です。

僕たちはみんな、労災保険に加入しているんですか?
掛け金を払った覚えがないんですけど。
保険料を払っているのは会社です。
従業員を1人でも雇っている会社は、労災保険に加入することを義務づけられています。 労働者の側でなにか手続きをしておく必要はありません。
働いている人が事故にあったり、ガンになったりすると、 もらえるんですか?
いいえ、民間のガン保険などとは違い、ケガや病気をすればもらえるわけではなく、 あくまで、仕事が原因のケガや病気について支払われるものです。
正社員でなくてももらえるものなんですか?

はい、アルバイト、パート、契約社員などに関係なく、受け取ることができます。 外国人であっても同じです。

受け取ることができないのは、「請負」と呼ばれる特殊な働き方をしている人であったり、経営者の立場にいる人たちです。 彼らは法的に「労働者」とは認められないからです。

会社が掛け金を払っているということは、会社を辞めてからでは請求できないんでしょうか?
大丈夫です、退職してからでも請求することができます。
ただし時効の問題があるので、お早めに専門家に相談なさるのがいいでしょう。

どんな場合に労災と認められるのか

  • 仕事中にケガをした

    足場から転落する、機械で指を切断する、といった仕事中のケガです。 労災が認められる典型的なケースといえるでしょう。
  • 働きすぎが原因で身体を壊した・うつ病になった

    過労による心臓病などを思い浮かべる人が多いでしょうが、他にも、例えば介護の仕事で腰痛になった、 OA機器の使いすぎで目を悪くした、けんしょう炎になった、などのケースでも認められる可能性があります。
  • 有害物質により病気になった

    じん肺やアスベストなどが典型です。 かつて印刷会社の従業員が次々にガンになる事件が明らかとなり、大きく報道されたこともありました。
  • 通勤途中に事故にあった

    通勤中にあった事故も、通勤災害として保険金が支給されます。
    ただし、寄り道が問題とされて、認定されないケースがよくあります。

一問一答 これは労災と認められますか?

仕事中のケガ

作業中に機械で手を負傷しました。

典型的な労災です。
問題なく認められるでしょう。

決められた作業手順を怠ってケガをしました。
自業自得だから労災にはならないと社長は言います。

労働者のミスについて、労災制度は寛容です。 業務上の災害であると認められるでしょう。

肉体労働で腰痛になりました。

労災となる可能性があります。
ただし腰痛は国民病といわれるぐらい一般的なので、それが仕事によるものといえるのかがポイントとなります。 詳しくは腰痛ページをご覧ください。

配達中、つい信号無視をしてしまい、事故を起こしケガをしました。

いけないことではありますが、労災制度は労働者の保護のためにあるので、業務上の災害と認められると思います。ただし給付の一部が減額される可能性が高いでしょう。

高所での作業中にスマートフォンを落として壊してしまいました。 新型で高価だったんですけど・・。

残念ながら物損は労災で補償してもらうことができません。治療費や休業補償などに限られてしまいます。

会議室への移動中に階段で転倒してケガをしました。

業務のための移動中の事故であり、さらに、階段という(危険の存在する)会社の施設が原因となっているケガです。 労災となるでしょう。

移動中に廊下で転倒してケガをしました。

業務のための移動中の事故ですから、基本的に労災になると思われます。

ただし何もないところで転倒したとなると、業務との関係が薄いということで、認定されない可能性もいくらか出てきそうではあります。

例えば持病の発作で倒れて床に頭を打ってケガをした、というケースは労災にならないと思われるので、それと似たケースだと判断されれば、どうなるかわかりません。

廊下が水に濡れていて滑りやすかった、何かにつまづいた、何かを運んでいる途中であった、といった事情があるほうが、認定を得やすいといえます。

外回りの営業中に犬にかまれてケガをしました。

ほぼ労災になると思いますが、道を歩いているときにかまれた場合には、業務との関係が薄い(=その業務をしていたからこそかまれたのだという蓋然性が低い)という理由で労災を認めない担当官も、もしかしたらいるのかもしれません。

訪問先でかまれたというケースのほうが、業務との関係性が強くなります。

暴行によるケガ

警備員の仕事をしていて、侵入者ともみ合いになりケガをしました。

職責を果たしたがゆえのケガであり、労災です。

介護の仕事をしていて利用者から暴力を受けました。

労災です。介護の仕事はそうした被害にあいやすい仕事といえるからです。

通勤中に言いがかりをつけられ、殴られケガをしました。

通勤中のケガについても労災は認められます。 通勤の際にそうした暴行トラブルに巻き込まれるのは予想できることであり、通勤との関連性があるということで労災が認められる可能性があります。

ただし、被災者からの挑発等がないことと、通勤災害の場合は常にそうですが、寄り道の有無が問題となります。

部下を注意したら、逆上され暴行を受けました。

職責を果たしたがゆえのケガなので労災となるでしょう。

同僚と口論になり暴行を受けました。

争いの理由が問題になります。仕事の進め方をめぐって熱くなり口論にいたったのであれば有利な材料となり、 特に業務と関係ない理由であれば難しくなるでしょう。こちらからの挑発もマイナス材料です。

どちらが先に手を出したかは、やはり重要なんですか?
先に手を出した場合はまず認められないだろうと思います。 向こうが先に手を出してきてこちらが応戦したという場合、身を守るためにした面が大きいのか、カッとなって反撃した面が大きいのかがポイントとなるでしょう。
販売員をしているのですが、お客の1人からストーカー被害にあい暴力を受けました。

販売員という仕事が特にそうした被害にあいやすい仕事といえるのかが問題となります。 いえないのであれば、業務との関係が薄いということで、労災になりません。

販売員のような立場の労働者のストーカー被害については、裁判例においても、労災を認めたものと認めなかったものとの両方があり、どちらかといえば認めない考えが主流といえるのかもしれません。

しかし、

  • 1日に不特定多数のお客と接する仕事であること
  • お客が店に足繁く通ううちに店員に好意を持つのは、いかにもありそうであること
  • 近年は販売員がそうした被害にあうことがニュース等でたびたび報じられ、お店の側でも対策を迫られていること

を考えれば、労災が認められるべきだと思います。

天災によるケガ

天災は原則としては労災になりません。
というのも、一般に天災はどこにいても被害にあう可能性のあるものであり、業務との関係が薄いとみなされるからです。

しかしその仕事についていればこそ被害にあいやすい天災、もあります。 漁師が海で嵐にあうのがそうです。 そうしたものについては労災になるので、実は認定を受けられるケースがたくさんあります。

ポイントは、仕事が天災の危険性を高めたといえるかどうかです。

レスキュー隊の友人が雪山で遭難した人を助けようとして、二次被害にあいました。

レスキュー隊という業務につきものの危険ですから、業務上の災害です。

漁師の夫が嵐にあい命を落としました。

漁師という業務につきものの危険ですから、業務上の災害です。

現場で作業中に土砂崩れにあいました。

業務で危険な場所にいたのですから、業務上の災害です。

台風のなか配達をしていて、強風が原因でケガをしました。

危険な環境で仕事をしている中でのケガですから、業務上の災害です。

地震で転倒し、手を骨折してしまいました。

地震はどこにいてもあう可能性のあるものなので、特別な事情がないかぎり、業務との関係が薄いということで、認定を得られない可能性が高いように思われます。ただし、

  • 床が滑りやすい状態だった
  • 足場が不安定だった
  • 建物の構造に問題があり、特に揺れやすかった

といった事情があれば認定を得られるでしょう。 また、

  • 荷物を持っていて転倒しやすかった
  • ヒールの高い靴を履くことが会社から求められており、バランスを崩しやすかった

といった事実があれば、有利に働くはずです。

地震で建物が倒壊し、ケガをしました。

倒壊するような危険な施設環境だったということで、労災になるでしょう。

地震で棚が崩れ落ちてきてケガをしました。

棚が崩れ落ちるような危険な施設環境だったということで、労災になるでしょう。

休憩中のケガ

休憩中のケガは原則としては労災になりません。 休憩中の行動は業務とはいえないからです。

しかし、例えばトイレや水を飲みに行く際にケガをした、というケースは労災になります。 休憩時間であってもです。被災者が階段で遊んでいたなどといった事情がなければ、という前提ではありますが。

なぜ休憩時間のトイレは労災の対象になるのか、次のように考えると良いと思います。

トイレに行くという行為は、それが業務時間内に行われた場合は、 業務に付随する行為・・すなわち業務そのものではないけれど広い意味で業務の一部のようなもの、として扱われ、その間のケガは労災の対象となります。

そこでもしも、休憩時間中のトイレを労災の対象から外してしまうと、業務時間のトイレであれば労災になっていたのに休憩時間だからならなかった、つまりトイレは休憩時間よりも業務時間に行っておいたほうが得だ、というおかしなことになります。

なので、トイレや飲水など、もしも業務時間であれば労災の対象となっていたはずの行為については、休憩時間であっても対象にしよう、ということになったのだと思います。

トイレや飲水の他にも、

  • 職場が危険な場所にあったことが原因
  • 会社の施設・設備の欠陥などが原因
  • 災害からの緊急避難や、緊急の人助けの最中だった

という事情があれば、休憩時間に起きたケガであっても、労災となります。

休憩中に食堂に向かっていたら、構内を走っていたフォークリフトにぶつかりケガをしました。

業務時間外であるものの、危険な職場環境が原因のケガですから、労災となるでしょう。

昼休みに外に食事をしに行き、道路で事故にあいました。

会社の敷地の外に出ると、原則として業務との関係が断たれ、労災になりません。

ただし、会社に食堂がないかまたは非常に狭く、外に食事に行くのが自然だったというケースでは、認められる余地が出てきます。会社の施設の不備を労働者が補っていた、とみなせる可能性があるからです。

昼休みに食事のため外に出ようと歩いていたところ、会社の駐車場内で車にぶつかりました。

食事のため外出しようとしていたこと自体は私的行為かもしれませんが、車の出入りがある駐車場という危険な職場環境が一因となっているので、労災が認められると思います。

屋外作業の休憩中、落石でケガをしました。

危険な職場環境が原因のケガですから、労災となるでしょう。

昼休みにカップラーメンのお湯をこぼしてヤケドをしてしまいました。

食事中のケガは原則として労災にならないでしょう。 ただし会社の設備の欠陥が原因であれば認められます。 それ以外にも、

  • 車の中で不安定な体勢で食事をする環境だった
  • 屋外作業の寒さで手がかじかんでいた

などの事情があればプラスに働くと思われます。

お昼休みに会社の流し場でお昼ご飯を調理していたら、包丁でケガをしてしまいました。

会社設備の欠陥などが原因でもない限りは、難しいケースです。 食事の調理は私的行為であり業務と無関係、とされる可能性が高いといえます。

ただし、例えば飲食店などで従業員のまかないを作ることが慣習化していた、というケースであれば、業務上の災害となり得ます。

出張中のケガ

出張の間のケガについては、労災となるケースの範囲が通常より広がります。
例えば食事中のような、通常であれば業務とは無関係とされる時間についても出張という行為の一部であるとされ、 その間のケガが労災となりやすいです。

というのも、出張中は労働者にあるていどの行動の自由を会社が認めているのが普通だからです。 労働者の一つ一つの行動について、これは業務でこれは私的行為で・・とあまり細かく区別するのは変だということで、出張中の行動は広く業務の一部だったという方向で判断されます。

とはいえ、限度はあるので、

  • 空いた時間に映画を観に行った
  • 合理的な移動ルートを逸れた
  • 宴会をし、お酒をだいぶ飲んだ
  • 仕事が片付いた後に観光をしていた

などは、業務とは無関係の行動とされ、その間のケガは労災になりません。

出張中に宿でお風呂に入っている時、転んで骨折しました。

入浴は業務そのものではありませんが、出張中は業務の一部のようなものと認められます。 その間のケガは労災となるでしょう。もしもお酒をそれなりに飲んで酔っていたという事実があると、マイナス材料になります。

出張中、夕食にお店でお酒を2杯飲んだ帰り道に、事故にあいました。

出張中の多少の飲酒は許容範囲として、労災が認められると思います。 お店が業務のルートから離れたところにあり、遠出をしていた、というケースだと難しくなりそうです。

出張中、同僚たちとお酒を交えたちょっとした懇親会を開き、帰り道に事故にあいました。

同僚たちと食事をすることは出張中にはよくあることであり、広い意味で出張の一部ですが、宴会とみなされると私的行為となり労災の対象から外れます。

通常の食事だったのかそれとも宴会だったのか、線引きは難しいですが、お店の種類、お酒の量、お店にいた時間、などで総合的に判断されることになるでしょう。厳しめのケースという印象を持ちます。

飲食代や帰りのタクシーチケットが会社から出ているという事実があれば、プラスの材料ではあります。

出張中、タクシーに乗っていたら事故にあいました。会社からはタクシーではなく電車を使うよう言われていたんですけど、疲れていたので自腹で払えばまあいいかと思って。何か問題がありますか?

あくまで業務のための移動であれば、労災の認定にあたって、問題はないと思われます。 業務上の災害になるでしょう。

1ヶ月ほど長期出張をしていました。この間に宿泊先で起きたことも労災になるのでしょうか?

1ヶ月程度であれば出張扱いになるでしょうから、宿泊先でのケガは原則として労災です。 あまりに期間が長いようだと定住しているとみなされ、ふだんの業務と同じ扱いとなり、帰宅後のケガは労災にならなくなってしまいますが、今回のケースであれば大丈夫でしょう。

とはいえ労基署の担当官によっては、

1ヶ月は長いです。それは出張ではなく出向でしょう。

と判断する可能性もあるので、

  • 会社から異動の発令がなかったこと
  • 給与を払っていたのは元の会社であること
  • 会社が出向ではなく出張といっていること

などの事実があれば、しっかり主張しておきましょう。
また、出張して間もない(まだ環境に慣れていない)頃のケガであるほど、プラス材料となるでしょう。

出張中に休みの日があったんですけど。この間のケガも労災になるんですか?

出張中は常に会社の管理下にある状態であり、休日もそれは変わりません。 映画を観に行った、などの私的行為の間を除き、原則として労災になります。

外国に出張をし、マラリアに感染しました。

そういう危険のある場所に業務で行ったのですから、労災です。

懇親会など会社の行事中のケガ

懇親会や社員旅行などの会社行事は、業務なのかそうでないのか判断が難しい場合があります。

労働者からすれば、必ずしも好きで参加してるわけではないので業務とみなしてほしいところでしょうが、 労基署は厳しめです。そうした会社行事を業務ではないとみなし、その間のケガを労災と認めない傾向があります。

社員旅行中にバスが事故にあいケガをしました。

社員旅行は、参加の業務命令でもないかぎりは、なかなか業務であったとはみなされません。 労災にならない可能性が高いケースのように思われます。

取引先との食事の帰りに事故にあいました。

食事が業務だったのか、ただの懇親会であったのかが問題となります。 業務命令での食事であり賃金が支払われていればとうぜん業務ですが、その点があいまいな場合は、目的や内容などから総合的に判断されます。

  • 取引先が大口だったなど、重要な接待だった
  • 会社名義でおみやげを持っていっている
  • 他の予定をキャンセルするなど、無理をして参加している者がいた
  • 会社がタクシーチケットなどを支給している
  • 食事後に会社に戻っている

など、その食事会に会社が力を入れていたことが伺える事情があると、プラスの材料になるでしょう。 なお、食事が業務と認められた場合でも、帰り道での事故となると、次は寄り道の有無が争点になります。

飲食店で行われた会合の帰り道に事故にあいました。

会合が業務だったのか、ただの懇親会であったのかが問題となります。

  • 業務について話し合われていた
  • ここでの提案がその後の業務で実現した
  • 時間外賃金が支払われていた
  • 他の予定をキャンセルするなど、無理をして参加している者がいた
  • 通常の飲み会はいつも不参加の者が、この会合には参加していた
  • 会社が費用やタクシーチケットなどを支給していた
  • 会社は会の費用を「会議費」など業務をおもわせる名称で経理処理していた
  • 会合の後に、懇親会が別に開かれている
  • 会合後に会社に戻った者がいた
  • 被災者が幹事の立場で、参加しないと会が成立しなかった
    (幹事についてのみ、会合が業務だったと認められる場合もある)

などの事実があれば、プラスの材料になるでしょう。
反対に、

  • お酒が入っていた
  • 長い時間飲んでいた
  • たくさん飲んでいた
  • 参加しない者も多かった
  • 参加時間は自由で、途中で帰る者もいた

などはマイナス材料となってしまうでしょう。 なお、会合が業務と認められた場合でも、帰り道での事故となると、次は寄り道の有無が争点になります。

通勤中のケガ

かつては違ったのですが、今は通勤中のケガも労災と認められます。 通勤中に事故にあった、などのケースです。

ただしここで問題になるのが、通勤途中における寄り道です。 本来あるべきルートから外れたり、時間を潰したりしていると、もはや通勤ではなくなったとされ、労災が認められなくなることがあります。

寄り道にも3種類があります。

  • 最小限の寄り道

    定期券を買うため他の駅に行くなど広い意味で通勤の一部のような寄り道、またはトイレに立ち寄る、経路上のコンビニに行きジュースを買うなど、短時間で経路から外れないささいな寄り道。
  • 小さな寄り道

    病院で治療を受ける、経路から少し離れたコンビニで雑誌を買う、スーパーに立ち寄って食材を買うなど、それほど短時間でなかったり経路から外れたり通勤と直接関係ない面もあるものの、日常生活に必要な寄り道。
  • 大きな寄り道

    居酒屋でお酒を飲む、麻雀をするなどの完全な寄り道。経路から大きく離れた寄り道。

順番に見ていきましょう。まず、

  • 最小限の寄り道

    定期券を買うため他の駅に行くなど広い意味で通勤の一部のような寄り道、またはトイレに立ち寄る、経路上のコンビニに行きジュースを買うなど、短時間で経路から外れないささいな寄り道。

は、そもそも寄り道ではなく、完全に通勤の一部とみなされます。
よってその間のケガも、その前後のケガも原則として労災が認められます。

続いて、

  • 小さな寄り道

    病院で治療を受ける、経路から少し離れたコンビニで雑誌を買う、スーパーに立ち寄って食材を買うなど、それほど短時間でなかったり経路から外れたり通勤と直接関係ない面もあるものの、日常生活に必要な寄り道。

においては、その寄り道をしている間は通勤中とみなされませんが、寄り道が終わった後はまた通勤となります

つまり、経路から少し離れたコンビニに立ち寄って何かを買ったとき、コンビニ店内でのケガは通勤中のケガではないとされ労災になりませんが、お店を出て本来の通勤ルートに戻ってから家路につくまでは再び通勤扱いとなり、その間のケガは労災になるということです。

国は以下を小さな寄り道の例としてあげています。↓

  • 日用品の購入など
  • 学校や職業訓練校の授業の受講
  • 選挙の投票
  • 病院の診療
  • 別のところに住んでいる家族の介護
    (継続的に行われている場合)

要するに、仕方がない目的があったり、最小限の寄り道ではないけれどそれぐらいであればまあ構わないといえる寄り道は小さな寄り道であるとされます。

最後に、

  • 大きな寄り道

    居酒屋でお酒を飲む、麻雀をするなどの完全な寄り道。経路から大きく離れた寄り道。

においては、寄り道をした時点で通勤は終わったと判断され、寄り道をしている間はもちろんのこと、寄り道を終えて通勤ルートに戻ってからも、その後のケガは原則として労災になりません。

中学生じゃあるまいし、寄り道ぐらいさせてくれたっていいじゃないですか。 仕事帰りのビールがせめてもの楽しみなのに。
なにも寄り道をするなと国が言っているわけではないのですが、仕事帰りに遊びに行くのは、いちど家に戻ってから遊びに行くのと大きく変わらない気もしてきます。やはりプライベートの性格が強いのではないでしょうか。
寄り道は帰りだけでなく朝の出社中も厳しく判断されるのでしょうか? わたしは朝早めに家を出て、会社近くのカフェで過ごすのが好きなのですが。
はい、往路の通勤も同様に判断されてしまいます。 朝食をとるためであれば生活に必要な行為なので大きな寄り道にはならないと思いますが、リフレッシュのためにコーヒーを飲むだけ等であると大きな寄り道とされ、その後の通勤中のケガが労災にならない可能性が高そうです。
素朴な疑問なんですが、寄り道ってバレるもんですかね? こっちが言わなければバレないんじゃ。労基署はどうやって突き止めるんですか?

会社から出た時間は調べればわかるわけですから、そこから真っ直ぐに帰ったのであればその時間にその場所にいるのはおかしいですね何をしていたんですか、とまあそんな風に調べるようです。

各駅電車でゆっくり帰りました等の嘘をつかれたらどうなるのだろう、と思わないでもありません。 まさか駅の防犯カメラを調べたりはしないでしょうから。

寄り道の有無で争った裁判例を読んでいると、寄り道の最中のおかしな場所で事故にあい、そこにいたこと自体は隠せなかったというケースが多いと感じます。言い訳ができるケースでは嘘が通っていることも少なくないのかもしれません。

とはいえ、虚偽の申告は犯罪となる可能性があります

具体的なケースを見ていくことにしましょう。

会社の帰りにスーパーで食材を購入し、その後事故にあいました。

食料品や日用品を買うのは小さな寄り道であり、本来の通勤ルートに戻った後に事故にあったのであれば、労災が認められそうなケースです。

ただしスーパーが通勤ルートから大きく外れたところにあると、大きな寄り道となり、そこで通勤は終わったとみなされます。 つまりその後に本来のルートに戻っても、事故が原則として労災になりません。

では何メートルぐらいの寄り道までは許容範囲なんですか?

という話ですが、単純に距離が問題ではなく、例えば付近に1つしかないスーパーが数キロ離れたところにあり、そこに車で寄ったという場合は、大きな寄り道とされないかもしれません。車ならすぐの距離であり、他にスーパーがない以上は仕方がないといえそうだからです。

反対にスーパーが多くある場所で、わざわざ駅の反対側にある遠い方のスーパーにそれなりの時間をかけて歩いて行った、というケースでは、たとえ移動距離は数百メートル程度であっても厳しめの判断をされてしまうかもしれません。 必要な範囲の寄り道だった、といえるかどうかがポイントです。

会社の帰りにお店で夕食を食べ、その後事故にあいました。

食事をとることは生きるうえで必要な行為ですが、外で夕食をとることは必ずしもそうとはいえません。 歓楽や気分転換の意味合いが強い外食であれば、大きな寄り道あつかいとなり、その時点で通勤は終わったとみなされ、その後の事故は労災になりません。

外食が歓楽の性格の強いものだったのかそうでなかったのかは、被災者の立場、ふだんの行動、お店の種類、お店の場所、連れ合いの有無、などから総合的に判断されます。

  • 独身であり夕食をふだんから外で食べている
  • 結婚しているが夕食をふだんから外で食べている
  • 定食屋など料理中心のお店であり、お酒は飲まなかった
  • 飲み物やおつまみ程度ではなく、夕食といえるものをしっかり食べている
  • 立食だった
  • お店が近い場所にあった
  • 1人で行った
  • 短時間だった

はプラスの材料になるでしょう。

会社の帰りに美容室に行き、その後事故にあいました。

髪を切ることは生活に必要な行為なので、小さな寄り道にすぎないとされます。 小さな寄り道の後、本来の通勤ルートに戻っているところで事故にあったのであれば、労災が認められそうなケースです。

ただし美容室が通勤ルートから大きく外れたところにあったわけでないことが条件です。

会社の帰りにジムに行き、その後事故にあいました。

ジム通いは健康増進に役立つとはいえ生活に欠かせない行為ではないので、厳しいケースと思われます。 ただし、リハビリのために通っていたのであれば、労災と認められそうです。

いつも使っている路線が事故で止まったので、他の路線を使って帰宅していたところ事故にあいました。

やむを得ない回り道なので問題にはなりません。労災が認められるでしょう。

通勤ラッシュを避けるために1時間ほど早めに通勤していたところで事故にあいました。

合理的な理由があるので、労災になるでしょう。 ただしあまりに早すぎる通勤は問題にされる可能性が出てきます。1つの目安ですが、2時間を超えるずれは危険と考えましょう。

また、早めに出発した分を埋め合わせるためどこかで時間をつぶしていた、という事実があると難しくなってしまいます。

終業後に休憩室で1時間ほどテレビを観てから会社を出て、帰る途中に事故にあいました。 会社に残っていた時間も寄り道あつかいになりますか?

会社内に残っていた場合は、基本的には大丈夫なのですが、時間が長いようだと問題になります。 今回は1時間程度なので問題ないと思われます。労災となりそうです。

1つの目安ですが、2時間を超える不必要な滞在は危険と考えましょう。
また、お酒を飲んでいた、など歓楽的な性格の強い行動があると、マイナスになります。

通勤のため家を出ようとして、玄関で転倒しケガをしました。

残念ながら、家の敷地内でケガをした場合は、通勤中とは認められず労災にならない可能性が高いといえます。 何か仕事で使う大きな荷物を持っていて、バランスを崩して転倒した、といった事情があればプラスの材料になりそうです。

通勤のため家を出てすぐに、マンション階段で転倒しケガをしました。

マンションの階段はふつうは共有部分であるため、家の敷地内とはみなされないでしょう。 通勤中の事故であるとされ、労災になると思われます。

実家に泊まった翌日、会社に向かっている途中に事故にあいました。 実家には高齢の両親がいるので、週に一度ぐらいは帰るようにしています。

労災が認められるでしょう。 別居している家族の住む場所へ時々(月に1回以上)帰っている場合、そこも自宅のようなものであるとみなされます。

会社の許可をとっていない休日出勤の途上で事故にあいました。

通勤災害は、業務に向かう途上でのケガ、に認められるものです。 自発的な休日出勤は会社からの命令のない私的な行為であり、業務でない以上はそこに向かう行為を通勤とは呼べないということで、その間の事故は労災にならないのが原則です。

しかし現実には会社が休日出勤を黙認していたというケースが多く、もし裁判所が判断をするのであれば、その休日出勤は実質的に業務であったとみなされる可能性が低くないと思います。その場合、労災が認められます。

とはいえ、労災であるかを最初に判断するのは、裁判所ではなく労基署です。 許可のない休日出勤を、労基署が業務であると判断するかは、なかなか不透明なところがあります。

飲食店で行われた会合の帰り道に事故にあいました。

会合が業務だったのか、ただの懇親会であったのかが問題となります。 懇親会であったとされると、大きな寄り道であるとしてその後の帰路の事故が労災になりません。

  • 業務について話し合われていた
  • ここでの提案がその後の業務で実現した
  • 時間外賃金が支払われていた
  • 他の予定をキャンセルするなど、無理をして参加している者がいた
  • 通常の飲み会はいつも不参加の者が、この会合には参加していた
  • 会社が費用やタクシーチケットなどを支給していた
  • 会社は会の費用を「会議費」など業務をおもわせる名称で経理処理していた
  • 会合の後に、懇親会が別に開かれている
  • 会合後に会社に戻った者がいた
  • 被災者が幹事の立場で、参加しないと会が成立しなかった
    (幹事についてのみ、会合が業務だったと認められる場合もある)

などの事実があれば、プラスの材料になるでしょう。
反対に、

  • お酒が入っていた
  • 長い時間飲んでいた
  • たくさん飲んでいた
  • 参加しない者も多かった
  • 参加時間は自由で、途中で帰る者もいた

などはマイナス材料となってしまうでしょう。
なお、会合が業務と認められた場合でも、帰り道での事故となると、次は寄り道の有無が争点になります。

テレワーク中のケガ

テレワークで在宅勤務中にトイレに行こうとして階段から落ちケガをしました。

在宅勤務中であっても労災は原則として認められます。 そしてトイレに行くのは広い意味で業務の一部といえる行為なので、その際のケガは労災が認められるはずです。

テレワーク中、昼食を食べに外出した際に事故にあいました。 自炊をする習慣がないので、いつも昼食は外で食べていました。

在宅勤務中は自宅が職場であり、外出をしたとなると会社の敷地の外に出たという扱いになり、業務との関係が切れてしまいます。労災は認められないと思われます。

これが会社での通常の勤務のばあい、会社に食堂がないために外出したという事情があれば、会社の施設の不備を労働者が補っていた、ということで外出中のケガにも労災が認められる可能性が出てきます。

しかし自宅となると、会社のせいで外食しなければいけなかったわけではないので、そうした可能性もなくなってしまいます。厳しいケースといえます。

過労による脳・心臓の病気

夫がくも膜下出血で倒れました。過労が原因ではないかと疑っています。倒れた場所は家でした。
  • 脳出血
  • くも膜下出血
  • 脳梗塞
  • 高血圧性脳症
  • 心筋梗塞
  • 狭心症
  • 心停止
  • 重篤な心不全
  • 大動脈乖離

といった病気について、国は過労が原因で起きる可能性があることを認めています。 過労によると判断された病気は、労災となります。

病気はケガと違い、発症した場所・時間を問われません。
家で倒れた場合でも、病気を発症・悪化させた原因が業務にあったのであれば労災です。

では病気の原因が業務にあったのかどうか、労基署がどのように判断するのかというと、以下の3つの条件を検討します。 どれか1つが当てはまれば労災が認められます。

  • 発症当日か前日に異常な出来事があった

    事故や犯罪に巻き込まれ命の危険を感じる、過酷な災害現場で救助活動を行った、極端な高温・低音下での作業を強いられた、など異常なストレスを2日以内に経験している。
  • 発症までの短期間に、特に過重な業務に従事した

    極端に休みが少ない、労働時間が長い、などの状態が、発症までのおおむね1週間ていど続いた。
  • 発症までの長期間にわたって、著しい疲労をもたらす特に過重な業務に従事した

    極端に休みが少ない、労働時間が長い、などの状態が、発症までの1〜6ヶ月ていど続いた。 「2」ほど極端に過酷な労働ではないが、そのかわりに長い期間続いたというケース。

このうちで3番目の、

  • 発症までの長期間にわたって、著しい疲労をもたらす特に過重な業務に従事した

    極端に休みが少ない、労働時間が長い、などの状態が、発症までの1〜6ヶ月ていど続いた。 「2」ほど極端に過酷な労働ではないが、そのかわりに長い期間続いたというケース。

が最も一般的なケースと思われます。
労働が過酷なものであったとみなされる要素としては、

  • 労働時間が長い
  • 拘束時間が長い
  • 休憩時間が短い
  • 休日のない連続勤務の期間が長い
  • 終業から次の始業までの時間が短い(11時間未満)
  • 深夜労働や不規則労働
  • 出張が多い(特に海外)
  • 移動が多い
  • 心理的なストレスが強い
  • 肉体労働
  • 寒さや暑さの厳しい環境
  • 騒音(おおむね80dB)
  • 通勤時間が長い

などがありますが、最も重要なのは労働時間です。
とりわけ、

  • 直近1ヶ月の時間外労働が100時間を超える
  • 直近2〜6ヶ月の時間外労働がおおむね月80時間を超える

のどちらかが当てはまるケースでは、労災が認められる可能性がかなり高くなります。

ここでいう時間外労働とは、週に40時間を超えた分の労働時間の合計のことです。 参考までに時間外労働が月80時間を超える可能性のある働き方としては、

  • 週に5日、毎日4時間ほど残業していた
  • 週に5日、毎日3時間ほど残業し、月に2回は休日出勤もしていた
  • 週に5日、毎日2〜3時間ほど残業し、週に1回は休日出勤もしていた

といったケースが考えられます。
かなりのハードワークであることがわかります。

過労によるうつ病

仕事が忙しくて疲れてしまい、うつ病になりました。
  • うつ病
  • 気分障害
  • 不安障害
  • 脅迫性障害
  • 適応障害

といった心の病気について、国は過労が原因で起きる可能性があることを認めています。 過労によると判断された病気は、労災となります。業務による強い心理的負荷があったかどうかが判断されます。

強い心理的負荷の例としては、

【労働の量に関係するもの】

  • 直前の1ヶ月におおむね160時間を超える時間外労働をおこなった
  • 直前の2ヶ月におおむね120時間以上の時間外労働をおこなった
  • 直前の3ヶ月におおむね100時間以上の時間外労働をおこなった
  • 1ヶ月以上の連続勤務をおこなった
  • 12日以上にわたって連続勤務をし、連日、深夜におよぶ時間外労働をおこなった

【労働の質に関係するもの】

  • 達成困難なノルマを課され、できない場合のペナルティを予告された
  • 経営を左右するプロジェクト(失敗した場合には倒産を招きかねないもの、大幅な業績悪化につながるものなど)において責任ある立場について、その業務に従事していた
  • 過去に経験したものと全く違う業務に配置転換させられ、大変な苦労をした

【ハラスメント等】

  • 上司からの人格否定を含む叱責が執拗におこなわれた
  • 胸や腰などへの身体接触を含むセクハラが続いた
  • 継続的なセクハラが続き、会社はそのことを把握しているのに対応してくれなかった
  • 退職の意思がないことを伝えているのに執拗な退職強要を受けた

などがあります。

コロナ感染

看護師の仕事をしているのですが、コロナに感染しました。 同僚も多くが感染しています。

感染リスクの高い業務に就いている労働者のコロナ感染は、労災が認められます。

何を受け取れるのか

労災が認められた場合に給付されるのは、概していえば以下のものです。

金額や必要書類などについてはリンク先で丁寧に解説しているので、テキストリンクをクリックしてご覧になってください。↓

労基署による調査

労災の申請にあたって、多くの場合、必要書類をそろえ労基署長に提出します。↓

労基署長に必要書類を提出する

申請をうけた労基署は、今回の事案を労災であると認めるべきかどうか、 担当官を決めたうえで、調査を始めます。

この担当官が、今後、労基署の窓口になります。

担当官は、あなたや会社、あなたの家族、など、関係者から事情をききます。
聞き取りは、原則として、労基署で行われます。

どんなことを聞かれるんですか?

労基署が、どういう関係者から、どういう内容を聞き取るかは、 事案によってだいぶ異なります。

仕事中にケガをしてすぐに病院に行った、というシンプルな事案であれば、 事故が起きた状況やケガの程度を、本人や会社から聞くぐらいで済むことも多いでしょう。 何の聞き取りもせずに、書類審査だけで労災であると認定するケースも、珍しくはありません。

一方で、うつ病や、働きすぎによる心臓病といった複雑な事案になると、 労基署の調査はかなり力の入ったものになります。

これはうつ病のケースですが、労基署がどういった点を調査するかを記した、国の資料があります。 少々古いですが、今でも参考になるでしょう。

別サイト(東京の社労士さんのサイト)に掲載されていたので、リンクをしておきます。↓
精神障害の労災認定実務要領について』(PDF)

400ページ以上もある資料ですが、とりあえず32〜51(実ページでは39〜58ページ)を読んでおけばいいでしょう。 家族や友人や医師など広い範囲の人から、労基署が詳細な聞き取りをすることがわかります。

かといって、労基署の担当官に任せきりにするのはよくありません。 あなたのほうでも、新たな証拠が見つかれば、担当官にその都度、提出するようにしましょう。
(証拠は後から追加で提出しても構わないのです。早いに越したことはありませんが。)

調査はどのぐらいかかるんですか?

決定までにかかる時間は、事案によって異なります。

仕事中にケガをしてすぐに病院に行った、というシンプルな事案であれば、1ヶ月ほどで認定されることも少なくありません。

一方で、うつ病や、働きすぎによる心臓病、などの事案となると、 仕事と病気との関係が明らかでないため、調査に1年、1年半とかかることも珍しくありません。

労災である証拠を、あなたの方で揃えて労基署に提出すれば、 そのぶん労基署の手間が省けるので、調査も早く済みます。

そういう意味でも、 きちんと証拠を揃えてから、労災の申請をするのがいいのです。

とはいえ、どんな証拠を提出すればいいのか、なかなか判断がつかないでしょう。
わからないからといって何でもむやみに提出すれば、却って労基署の調査に支障をきたす恐れもあります。

証拠の提出にあたっては、専門家に相談することを検討してはいかがでしょうか。

労災の申請は難しい?

おさらいです。
労災の申請は、必要書類をそろえ労基署長に提出するのでした。↓

労基署長に必要書類を提出する

労基署が調査をし、労災であると認められれば、国から治療費が支給されます。↓

労基署から業務上災害であると認められた

しかし認められない場合もあります。↓

労基署から業務上災害であると認められなかった

労災の認定は高いハードルなのでしょうか?
仕事中にケガをしたというシンプルな事案であれば、認められることが多いでしょう。 難しいのは、働きすぎによる心臓病やうつ病などです。労働とのつながりが見えにくいからです。

統計によると、「働きすぎによる脳・心臓病」の労災認定率は、 30〜40%程度です。↓

脳・心臓病の認定率統計(平成29年度〜令和3年度)

うつ病(精神障害)の認定率も、やはり同じぐらいの厳しい数字です。↓

うつ病の認定率統計(平成29年度〜令和3年度)

しかし、たとえ労基署から認定を得られなくても、まだ巻き返す道があります。

労基署の判断はおかしい!
間違ってる!

として、裁判を起こすのです。

このとき訴える相手は「国」となります。
「労災であることを認めない国の決定は不当だと思うのですがいかがですか?」 と裁判所に尋ねてみるのです。

国を相手にした裁判のことを、「行政訴訟」といいます。 とうぜん、弁護士に依頼をすることになるでしょう。↓

国と裁判で争う

行政訴訟に勝てば、労災が認められます。↓

国との裁判に勝った

↑このように裁判のタイミングで、弁護士は労災事件に関わることが多いです。

しかし我々は、裁判になる前・・あなたが労基署に労災を申請するタイミングで、弁護士があなたをサポートすべきだと考えています。↓

弁護士のサポートを受けて労基署に申請する

弁護士が入るタイミングは早いほうがいいのです。 裁判になってからのサポートよりも、裁判にしないためのサポートこそが重要と考えています。

青葉法律事務所による申請サポート

青葉法律事務所では労災申請のサポート業務を行っております。

どちらかというと弁護士は、裁判をする段階で労災事件に携わることが多いのですが、 私たちは裁判になる前に認定を勝ち取ることが重要であると考えています。

弁護士が入るタイミングは、早いほうがいいのです。

労災を申請するのは、手続きだけを見れば、それほど難しいわけではありません。

しかし手続きに必要な最低限の書類を、労基署にいわれるがままに、すなおに提出しても、認定を得るのは難しいのが現実です。

労災の申請は入学試験のようなものと思いましょう。 受験することは誰にでもできますが、合格しようと思えばそれなりの・・かなりの、努力が必要になります。

労基署が教えてくれるのは、いわば願書の提出方法だけ。 合格のために必要な勉強を教えてくれるわけではありません。

受験生が合格をめざして予備校に通うなどするのと同じように、 労災の認定を得るために、専門家によるサポートを検討してはいかがでしょうか。

何をサポートしてもらえるのですか?

私たちが行うことは、裁判を起こすときに行うことと基本的に変わりありません。 依頼人に有利な証拠を集め、不利な証拠にはフォローを入れます。

説得をする相手が、裁判官から労基署に変わるだけですから、 ふだん私たちが行っている弁護士としての仕事と、大きく変わる点はないのです。

労災の認定にあたっては、多くの人が重要であると考えるポイントと、労基署が重要であると考えるポイントとに、 おそらくいくらかの開きがあります。

労基署が重要であると考えるポイントをふまえ、労災であると認定されるために必要な証拠を、私たちはできるかぎり集めます。 この点は特に、働きすぎによるうつ病や過労死事件において重要です。

私たちは労災の申請を、単なる「行政手続き」と考えてはいません。 裁判に匹敵するほどに難しく重要な手続きと考えています。

このまま裁判に移行しても構わないといえるぐらいのしっかりした証拠を、 申請の段階でできるかぎり集める努力をします。

独力での証拠集めに不安があるようであれば、ご相談ください。


申請サポートの費用

33万円(消費税込み)

  • 審査請求・再審査請求の段階から入る場合は44万円(消費税込み)から
  • 事案により増減があり得ます。

事案により相談

着手金は結果のいかんに関わらず発生する費用のことであり、報酬金は成功報酬のことです。

報酬金を明確にしていないのは、労災の給付金が年金形式などさまざまな形で支払われるものであり、申請が通った場合のあなたの経済的利益を算出することが難しいからです。 よって事案ごとに相談とさせてください。

代表弁護士加地弘

文責:青葉法律事務所弁護士 加地弘

この10年以上、ほとんど労働事件ばかりを扱ってきました。相談に始まり裁判まで多くの経験を積んでいます。 区役所、上場企業などでセミナー・講演多数。 2016年から労働局の東京都労働相談情報センターからの依頼で、セミナー講師を務めてもいます。

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