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経営が苦しいときのトラブル

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退職金を巡って労働者と会社がトラブルになりやすいのは、会社の経営状態が悪いときです。

いくら退職金制度が会社に存在していたところで、やはり経営者はそれを恩恵的なものと見る向きが強いのか、 経営が苦しいときにまで支払うことに違和感を持つことも多いようです。

退職金制度を設けた当時と今とじゃ、会社の置かれてる状況が違うよ。
それでも全額払わないといけないの?
退職金を払って会社が倒産してもいいっていうの?

しかし経営状態の悪化や経済情勢の変化は、本来支払うべきものを支払わない正当な根拠になりません。 こんなに経営が苦しいんだから裁判所もわかってくれるだろう、と期待するのは間違いです。

すると経営者はこう思うかもしれません。↓

時代に合わない額の退職金を、当然の顔をして請求する従業員が腹立たしい!

そしてこう考えます。↓

そうだ、時代に合わない制度なら今から変えればいいんだ!
うちの会社、来年から退職金規程を変更して、支給額をこれまでの半額にするからよろしくね。
ちょっと待ってください、そんな勝手に!
満額出るのがうちの会社のルールだったじゃないですか。 ルールはきちんと守ってください。
ルールは守ってるよ。今までちゃんと払ってきたじゃないか。
これからはルールを新しいものに変えようと言ってるだけさ。
そんな非常識な真似、通りませんよ。こっちは退職金を当てにしてきたんです。 後からポンポン変えられたらたまったものじゃない!
高度経済成長期に作ったルールを、いつまでも変えちゃいけないなんて言うほうが非常識だよ!

この場合、どちらの主張が正しいでしょうか? どちらの主張にも一理あるように思えます。 これを退職金規程(就業規則)の不利益変更の問題といい、裁判でしばしば争いになるところです。

会社が就業規則を労働者にとって不利益な方向に変更しようという場合、原則としては労働者の1人1人から同意を得る必要があります。 一度決まった労働条件を後から変えようというのですから、それが当然といえます。

しかし反対する従業員がいるからという理由でいつまでも就業規則を一切変更できないのでは、会社にとって酷です。 世の中の実情に合っていません。

そこで、会社にとって就業規則を変更する必要性が高く、かつ労働者の受ける不利益がそれほどでもない場合は、 たとえ全ての労働者の同意がなくとも、会社が就業規則を変更することを法は例外的に認めています。 要するに、妥当な範囲に収まっている変更ならいいでしょう、ということです。

何が妥当な範囲の変更であるかは、裁判所がその都度判断することになりますが、 先にも述べたように、一方的な就業規則の不利益変更は原則としては許されないはずの行為ですから、 認められる変更は限定的なものになります。退職金制度の変更となれば、一般の就業規則の変更と比べても、さらにそのハードルが上がります。

それまで存在していた退職金制度を突然廃止しようとしても、認められる可能性は低いでしょう。 廃止まではせず支給額を減らすにしても、新しい制度に移行するまでに一定の猶予期間を設け、その期間は退職者への代償措置として手当を支給するなど、会社側の配慮が求められます。

規則を変更する場合って、普通は過半数の賛成が必要などのルールがありますよね? 退職金規程の変更にはそういうルールが無いんですか?
全員の賛成までは無理でも、せめて過半数の賛成ぐらい得ておくべきだと思うんですけど・・。
多数決による賛成は特に求められません。 ただし会社が労働者側とどれだけ誠実な協議をしたかや、労働者側の賛成反対がどれぐらいだったかという点は、 裁判所が変更の妥当性を判断するための材料の1つにはなります。
会社を退職し、退職金の支払いを求めたんですが、いま退職金規程を見直してるところだから待つよう言われました。 そんな急な制度の変更が許されるんですか? まるで私が辞めるタイミングに合わせたみたいで良い気分がしません。
制度の急な変更が不誠実であるのはもちろんですが、そもそも原則として規程の変更は既に退職した労働者に効力を持ちません。 本来支払われるべき額を堂々と請求してください。
退職後の変更が効力を持たないなんておかしいわ。 どこかの会社は既に退職したOBの年金を削って、裁判にも勝ったと聞いたもの。

退職 "年金" の場合は、世代間の公平を期すために支払い基準を統一する必要性が高く、また将来削られる可能性を労働者もある程度予期していたはずだという理由で、退職後の減額も認められる場合があります。

しかし通常の退職金は、退職時に労働者の権利として確定するものなので、後からルールを変更しても意味がありません。

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